「あのスタッフが担当したときだけリピートする」。この状態は、スタッフの実力差ではなくカウンセリングが設計されていないことが原因です。ここでは私たちがリピート率をカウンセリングで定義している理由と、標準化の手順を公開します。
この記事はこんな方におすすめです
- 担当スタッフによってリピート率に大きな差がある
- 技術は教えているのに、仕上がりの満足度が揃わない
- カウンセリングシートを作ったが、形だけになっている
- 提案をするとクレームや「営業された」という反応が返ってくる
- 広告を回す前に、受け皿の品質を揃えておきたい
結論。私たちはリピート率をカウンセリングで定義しています。カウンセリングでミスマッチがなく、満足と依存度のバランスが取れていれば基本的にリピートする、という考え方です。だからカウンセリングに重きを置いてビジネスモデルを作っています。技術の平準化より先に、ここを揃えます。
リピートは接客努力ではなく、構造で決まる
美容師はお客様思いなので、初回で完璧に仕上げようとします。ところが、これがリピートを止めています。脱毛サロンを思い浮かべてください。1回では終わらない設計だから、お客様は通います。歯科も同じで、今日の虫歯は治すけれど「ここに候補があるので次はこのケアを」と新しい課題を渡してくれます。
私たちの定義はこうです。初回来店では、満足は作る。ただし完成はさせない。満足させないという意味ではありません。今日の課題は解決したうえで、次に取り組む課題を一緒に見つけて帰ってもらう、ということです。この設計をカウンセリングに埋め込みます。
標準化の前に決めること
① 何をもって「良いカウンセリング」とするか
基準がないまま標準化しようとすると、質問項目を増やすだけの作業になります。私たちの基準は「ミスマッチがないこと」と「満足と依存度のバランスが取れていること」の2つです。この2つに効かない項目は、増やしません。
② 全スタッフが同じサービスを提供できる状態を目指す
これは広告を回すための前提条件でもあります。広告は「この体験が受けられる」という約束を市場にばら撒く行為なので、提供品質がバラつく状態で集めると、集めるほど評判が割れます。カウンセリングの標準化は、集客投資の前提工事です。
③ 顧客向けと教育用を分ける
ここが最も重要な設計です。詳細な診断ロジックはスタッフ教育用に持ち、顧客向けには簡易版を使います。理由は次章のとおり、実際に失敗したことがあるからです。
決めすぎるとクレームが増える
以前、リピート率を上げる施策として、精緻なロジカル診断を導入したことがあります。結果はクレームの増加でした。診断の精度を上げるほど、お客様の好みが入る余白が消えていったからです。
そこで逆に振り切って、「可愛い系かかっこいい系か」程度まで抽象化したところ、非常に喜ばれました。決めすぎると良くない、とこのとき気づきました。
当日のアップセルは提案しない
お客様が自分で選んだメニューを、当日その場で上位メニューに変更提案すると、10人いれば3人は「営業された」と感じます。これはリピートを毀損します。提案はアフターカウンセリングで次回相談として置くほうが、結果的に単価もリピートも上がります。
アフターカウンセリングで「次の課題」を渡す
施術後に「今日はここまで良くなりました。次はここを整えると、もっと持ちが良くなります」と伝えます。ここで初めて次回来店の理由が生まれます。渡すのは商品ではなく課題です。
標準化の手順
手順1:マインドセットを先に共有する
手順だけ渡しても定着しません。なぜカウンセリングに時間をかけるのか、この仕事は何のためにあるのかを先に共有します。私は美容師の仕事を「目の前のお客様に喜んでもらい、また来てもらう約束を取ること」と定義しています。この定義から降ろすと、カウンセリングの位置づけが自然に伝わります。
手順2:ファーストとアフターの2点に絞る
会話の全部を標準化しようとすると使われません。ファーストカウンセリング(施術前の期待値合わせ)とアフターカウンセリング(次回の課題提示)の2点だけを型にします。この2点が揃えば、間の会話は個性が出ていて構いません。
手順3:来店前のスクリーニングまで含める
教育の範囲を施術中だけに限定すると、ミスマッチの解決を現場に押し付けることになります。予約時点・来店前の案内で期待値を揃えておくことも、カウンセリング設計の一部です。
手順4:経験者には機種変更型で渡す
中途入社のスタッフには、それまでのやり方があります。全否定から入ると定着しません。「これまでのやり方を捨ててください」ではなく「うちの型に載せ替えてください」と伝えます。
技術より先に、顧客理解
私はもともと、技術に自信のある美容師ではありませんでした。勤務時代に50人いるスタッフの中で売上・指名ともに1位になりましたが、決め手は技術力ではありません。お客様を理解し、共感し、その人に合った提案をしたこと。それだけでした。
だからスタッフ教育でも、技術の平準化より先にカウンセリングを揃えます。技術差はどうしても残りますが、カウンセリングが揃っていれば、満足度の差は思ったより出ません。
数字での確認方法
カウンセリングを標準化したかどうかは、次回予約率で確認できます。私たちの基準はこうです。
| 社内規定ライン | 次回予約率80%。下回ったスタッフには次回予約に特化したレッスンのみを課す |
|---|---|
| 実績(Leone) | 全店平均80〜92%、総次回予約率は約90% |
| 換算 | 次回予約率90%なら、予約後キャンセル約20%を織り込んで実リピートは約70% |
80%を切ったスタッフには、他の技術課題を同時に出しません。一度に複数課題を出すと、結局どれも進まないためです。
よくある質問
Q. カウンセリングシートの項目は何個が適切ですか?
数ではなく、ミスマッチ防止に効くかで判断してください。項目を増やすほど良くなるわけではなく、精緻にしすぎるとお客様の余白が消えてクレームにつながります。
Q. スタッフによって次回予約率の差が大きいのですが
差が出るのは正常です。ただし、その差が仕組みで埋まる範囲なのか、教育が必要な水準なのかを切り分けてください。仕組みで到達できるなら教育投資は不要です。
Q. 次回予約を勧めると嫌がられませんか?
「予約を取ってください」と勧めると嫌がられます。そうではなく、次に取り組む課題を提示した結果として予約が入る流れを作ります。理由がないまま予約だけ求めるから断られます。
Q. 単価を上げるとリピート率は下がりませんか?
下がるとは限りません。単価が上がると1人あたりの施術時間とカウンセリング時間を確保できるため、満足度が上がることがあります。
※本記事の数値は株式会社Leoneの自社計測値および顧問先支援データ(2026年7月時点)に基づきます。掲載は事実の記録であり、同じ成果を保証するものではありません。
執筆・監修:山本 政樹(株式会社GAMEVATE 代表取締役CEO/Leone 27店舗を経営)
無料相談会に申し込む(LINE登録)≫
無料登録・所要2分・無理な勧誘なし
経営のご相談はGAMEVATEまで。

